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ゾンビ映画番外ー伊藤チコの研究メモ

伊藤は一年半前の同人誌『進撃のヘンテコゾンビ48』においてwikiを参考にマタンゴが勝手にゾンビシリーズ14として最新作を記しました。その後の調査の結果、5倍の数量があることが判明しました。ここに訂正申し上げます。

 

パチモンゾンビ映画を調べていたら革命的なことが分かったので、メモとして記します。

まず、wikiに記してあったパチモンゾンビとは、

『Zombie(film series)』https://en.wikipedia.org/wiki/Zombie_(film_series)
閲覧日:2019年10月20日

Zombie…『サンゲリア
※ロメロの『ゾンビ』は原題『Dawn of the Dead
Zombie3…『サンゲリア2
ここからビデオ、テレビ放送時のタイトル。
Zombie4:After Death…『ゾンビ4』
Zombie5:Killing Birds…『キリングバード』
Zombie6:モンスターハンター…ジョー・ダマト監督『Absurd(不条理)』(1980)※日本未公開
Zombie7…ドイツ映画『Zombie 90:Extreme Pestilence』(1991)※日本未公開
Zombie8…スペインゾンビ映画『エル・ゾンビ IV 呪われた死霊海岸』(1975)(原題:TERROR BEACH)
※『エル・ゾンビ』シリーズ4作目。
Zombie9…香港映画『カンフー・ゾンビ』(原題:烏龍天師招積鬼)※トルクメニスタンでテレビ放送された時のタイトル。
Zombi10…ジョー・ダマト『ビヨンド・ザ・ダークネス/嗜肉の愛』(1978)(原題:BEYOND THE DARKNESS)
Zombi11…ブルース・リーのパチモン、ブルース・リの香港映画『龍門秘指』(1976)※日本未公開。
Zombi12…香港映画『液体人間オイルマン』(1976)(原題:油鬼子)※ウズベキスタン公開タイトル
続く
Zombi13…ブルース・リ出演『中国超人インフラマン』(1975)(原題:中國超人)
アゼルバイジャンのテレビ公開時。
Zombi14…日本映画『マタンゴ』(1963)

ちなみに、
『ナイトメア・シティ』がゾンビ3
『恐怖の溶解人間』(七六)がゾンビ4
北朝鮮製の怪獣映画『大怪獣プルガサリ』(八五)がパキスタンではゾンビ34

というのがある。しかし、調査能力をアップさせた伊藤は、下記の調査結果をもたらした。

ゾンビ16はミラクルカンフーアシュラがルクセンブルク

Zombi 18として怪獣大戦争がカナダとタジキスタン

Zombi 24として1936年の見世物映画がカメルーン

リヒテンシュタインにはZombi 25に香港映画。

Zombi 27はかなり濃くて、トルコ映画なんだけど悪のニンジャ軍団をチェストする映画がトンガで海賊版されたやつ。Zombi 29は香港映画がトルコ。

欠番もすさまじいですが最新作はゾンビ:70の1982年魔界天使のトルクメニスタンでのタイトルというのが分かりました。

最新年度で言いますとイカレスラーの海賊版ラトビアでゾンビ39。

 

これ面白いんですよ。どうせタイトルつけなんて「ゾンビ人気だろうから」って99%いい加減な理由なんですが、70-90年代の中央アジアで無責任シリーズが多く展開されているのって何か理由があると思うんですよ。世界史・文化史・民族・宗教の側面から考察すると、ゾンビが繋いだ文化圏っていうのが見えてくる気がするんです。

 

わかったことがたくさんある。

1.勝手にゾンビシリーズは、80年代前後の中近東に集中していること
2.香港映画・日本映画が非常に多かったこと。
この二点を踏まえると、ダイナミックな考察が出来ます。それはゾンビが結んだアジアと中近東の世界です。

 

1.この時期の中近東はソ連の衰退、イランでの革命、中東戦争など、周辺諸国の政情が不安定でした。それでも映画を公開する経済的余裕とインフラがあったわけです。
2.この時期の香港はカンフー、キョンシー映画が非常に盛んな黄金期でした。香港映画の人気がここまで及んでいたことが分かります。

もう一つの考察が文化です。私たちのイメージする動く死体とは全く異なるモンスターが、向こうではゾンビとして名前を付ける、何かしらのイメージがあったと思います。思うに、中近東の国では「人間型のモンスターであればゾンビ」として通用できたのだと思います。この視点は革命的です。

中近東、トンガとかあるけど、のパチモンゾンビシリーズは、ゾンビに新しい視点を与えると思います。私たちが一般的に認知するゾンビというのはロメロ以降の『アメリカ視点』のゾンビです。たどればアフリカが発祥ですが。死んで、腐りかけた人が動き、人肉を食べる。

ポピュラーではなくなりましたが、『中国視点』のゾンビがキョンシーです。これは定義がいい加減ですが、幽霊と死体の中間で動く妖怪という感じかな?
一般的にはアメリカ・ゾンビがイメージしやすいでしょう。しかし、中近東のゾンビは、人間の形をしたモンスター、もしくはミラクルカンフーのようなうまく言えないけど、障碍者というか、まあ、一般的な五体満足でない、異形というか、こういう表現は良くないんだけど、も『ゾンビ』としてとらえている。これって今までのゾンビにはなかった視点です。

つまりアメリカのゾンビが席巻し、アジアでキョンシーがうごめきだした時期に、まったく今までのゾンビ映画の中では取り上げられなかった「もう一つのゾンビ」が中近東にいたということです。

これは革命的な発見。

あんまりびっくりしたから記録に残したくて書いてしまった。

伊藤はゾンビ映画はそろそろ『進化』するタイミングに来ていると思っている。人に操られるだけの死体が、動き出し血をすすり、ノロノロから走りだして、しゃべりだす。ではそこから先は?

もしかしたらこの地域にあるかもしれない。

今後の伊藤自身の研究の為に記録する。